015:ニューロン

我は意思を伝えるモノ。

硝子玉みたいに、丸々とした四つの瞳が並ぶ。

「お兄さん、誰?」
紅い目の子供が小首を傾げて訪ねる。
もう一人の青い瞳の子供も、興味津々といった様子でこちらをじっと見つめている。

「セイジと云います。貴方達の目付を言いつかりました。」
子供相手でも、努めて慇懃に振る舞う。

「目付・・・!それって見張り役ってコト?」
「そんなのいらないって!」
幼いながらも必死に抗議する。見上げる視線が突き刺さる。
束縛を厭う。それは自尊心の表れ。

「そういう訳じゃありませんよ。私は貴方達を束縛するつもりはこれっぽちもありません。
基本的に貴方達のする事に口を出す気は毛頭無いです。ただ、正しいことと正しくないことをお教えするだけです。」
「それって束縛してるって云うんじゃないかな?」
「そうですか?束縛するっていうのは、相手の自由を全て奪うことですよ。」
「うん、そうか。そう言われたらそうかもね。」
「そうでしょう?では改めて宜しくお願いしますね。」
にこりと微笑む。うん、なかなか上手くやっていけそうだ。
紅目の子供は大変聞き分けが宜しい。

「・・・オマエ、どうせアイツに面倒な子守役、押しつけられただけなんだろう?無理して笑わなくたっていいって。」
青目の子供が低く唸る。
剥き出しの敵意も、子供らしくて良いと思う。
大きくなるにつれて、余分なモノが邪魔をして、感情を素直に出せなくなっていく。
それは自分を守るためには酷く便利なものだけど、酷く寂しいコトだ。

「おや、そんなこと云うなんて、貴方は子供として扱って欲しいんですか?」
「ッ・・・ちが・・ッ!」
「そういう風に聞こえますよ。安心してください、私は貴方達を子供扱いなんてしませんから。
子供も大人も、過ごした時間が違うだけで、どちらも同じ一個人だと思います。
だから私は、貴方達を一人の人間として扱います。それでも不服ですか?」
「・・・不服じゃないよ。」
可愛らしくて思わず笑う。

「だって!ね、僕達は貴方のコト、何て呼べばいい?セージ?」
舌っ足らずな様子で、紅目の子供が尋ねる。
「うーん・・・呼び捨て・・・。まぁいいですけどね。どうぞお好きにお呼び下さいませ、王子様方?」

*

「というわけで、大変仲良くなってしまったんですけどね。そもそも私は貴方の秘書官じゃなかったんですか。」
「いやいや、なかなかお似合いだったよ、目付役殿?」
「そうですか・・。私もあの子達は嫌いじゃないですよ。子供らしく、素直で、大変可愛らしい。ただ・・・」
「ただ?」
「少々悪戯が過ぎるんです・・・。こんなコトなら最初の時にもっときつく云っておくべきでした・・。」
思わず溜息が漏れる。
「はは。まぁその辺は好きに注意してやってくれ。あれはオマエに任せるよ。」
「それじゃぁ給金、二倍頂きますけどね。」
「・・・・」
「冗談ですよ。」

015:ニューロン:久遠と刹那と+α
ニューロン違う・・・・うええ・・・・。
脳=仁さん、ニューロン=セイジさん、四肢=双子、でどうですか・・・(適当)
セイジさんはお気に入りさんなので書いてて楽しかったです!
大人・子供論は持論なのであんまり気にせずにどうぞ。
双子は幼いときは悪戯好きという設定です。今も?

05.03.06

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