036:きょうだい
僕には兄がふたりいる。
どちらも血は繋がってなんていないけれど、やっぱり大切な存在なわけで。
友人とは違う。かといって単なる知り合いとも違う。
僕と彼等の関係を定義づけるとしたら、やはり「きょうだい」という言葉しか当てはまらない気がする。
*
「ん?リナイ、何か言った?」
「いえいえ。レキ兄さんは今日も間抜けヅラしてるなあと思いまして」
「・・・・!おま!仮にも兄に向かってその物言いは無いだろう!」
「ぶふ。僕はレキ兄さんのコト、兄だなんて思ったことないよ。・・・なんてね」
「・・・・・」
あ、呆れられた。
このいかにも、単純で・からかいやすそうで・S心をくすぐられるのが一人目の兄・レキ。
血は繋がってないけれど、戸籍上は、兄。
からかう対象ではあるけど、勿論兄として尊敬してる。
一途で・努力家で・これと決めたら信念は曲げない。
学校での成績だって優秀だったし、今だって所謂エリートな訳だし。
「ふっ・・・・レキ兄にエリートって単語、似合わない」
「ちょっとリナイさん。さっきの会話から、どこをどうなったらその発言が飛び出すんですかね」
「さあ?」
「・・・・全く、誰に似たんだか・・・・」
「「それはレキでしょ」」
おや?
なんだかんだでもう一人の兄登場。
「ルート・・・キミまでそんなこと言って・・・」
「うん?俺はレキのこと、リナイについで、よーく知ってるからねえ」
「それと同じくらい、俺はキミのことを知ってるけどね」
「あれやだそれ愛の告白かしら!フフ。まあ、リナイの理屈っぽいところはレキに似てるよ。とてもね」
「ルー、それ僕のコト褒めてる?けなしてる?」
「前者2割、後者8割かなあ!」
・・・・結局けなすのか。
まあいつものことなので特には気にしませんが。
と、まあこの、本気と冗談の境界線が不鮮明なのが、二番目の兄・ルート。
血は繋がってないし、戸籍上も、他人。
親友であるレキの弟、ということで、まあなんか兄代わりのようなそんな状態。
「!何?」
「いや、なんか考え込んでるから、どしたのかなーって」
・・・・いきなり肩を叩かれて本気で驚いた。
行動に脈絡がなさすぎるんだよな、このひと。
「あ、ほら!俺の今日のおやつの桃、ちょっとわけてやるから元気出せ!な!」
「・・・ルート、ケチくさい。仮にも一国の王だろう、キミは」
「!う、うるさいなあ。一番好きなモノを独占しないで、ちょっとでも分け与えるあたりが偉いだろう!」
「いや、開き直られても・・・・」
「ルー、半分くれたら元気でるかも」
別に落ち込んでた訳ではありませんが。
「・・・・!!」
「・・・ルート、涙目になるほど分け与えたくないのか」
「う、うるさい!」
・・・・こんな人が国王やってるのって、どうよって思うわけですが。
まあ僕としては、こうしてきょうだい仲良く過ごせるだけで幸せなので。
036:きょうだい:ウタツカイ
文章打つのが実に一年ぶりなんですが・・・★きゃ、だめなひとですみませ!
リナイさんから見たお兄ちゃんズ紹介編。
お兄ちゃんズが18歳くらいのころなんじゃないかと!
というか、リナイさん視点、凄く書きにくかった。
もうこの人視点で書かないほうがいいと心底思った。
ルートの桃ネタはココでも大活躍ですね!にこ
07.04.21