018:ハーモニカ
幼い頃、よく二人で笑いながら遊んだ。
窓辺から乗り出して、虚無に指を指す。
顔を見合わせて、何時までも笑っていた。
*
複雑に絡み合った、不思議な音が聞こえて僕は思わず耳を傾けた。
聞き覚えのある旋律にどきりとし、思わず辺りを見回す。
まだ、見えない。
持っていた、煩わしい荷物をその場に残し、僕は走り出す。
音の聞こえる方へ、呼んでいる方へと。
一つ目の角を曲がって間違いに気付き、引き返す。
扉を一つ一つ覗き込み、その度に焦りは募る。
まだ見つからない、まだ違う。
1、2、5、10。幾つもの扉を開けては閉め、また開ける。
19個目の扉を開くと、胡座をかきながら床に座り込んでいた刹那が、
ゆっくりと振り向き、コチラを見上げてニヤリと笑った。
手には錆びつきながらも、銀色に光るハーモニカ。
僕は、笑った。彼も、笑った。
018:ハーモニカ:久遠と刹那
001:クレヨン、と対にしようと思ったのですが、どうにもうまくいかなかったのでこんな支離滅裂文に。
刹那は別にハーモニカ上手くないと思いますけどね。音痴っぽい(失礼)
ウチの妹がハーモニカが好きで、ヤツは2.3本もってますけどね。どうでもいい話だな。
04.04.12